アンカーボルトの施工方法(清掃編)
2020/09/18|blog
清掃と穿孔深さの確認
あと施工アンカーの施工であまり知られていないが重要な作業の孔内清掃。
コンクリート母材を穿孔した際にでる切粉の除去が不十分だと、あとから設置するアンカーの引抜強度が不足する事があります。
清掃作業はとても単純ですが、現場で「さぼりがち」な作業でもあります。
ここで、アンカーを安全に使用する為に、清掃方法や適性工具をもう一度確認していきます。
孔内清掃について
「先行した孔の孔内清掃にあたっては、まずコンクリート母材表面の孔のまわりの切粉をきれいに除去した後に、孔径および孔深さに適合したノズルを差込み切粉が残らないように行う。
打込み式アンカーで、孔底で反力を受けるアンカー(本体打込み式・内部コーン打込み式・スリーブ打込み式)は特に念入りに清掃をする。
孔底にコンクリートの切粉が残っていると、打ち込みした時に切粉がクッションとして働き、拡張部が十分に広がらず、アンカーの固着力が低下する恐れがあるので、切粉は孔内に残らないように十分に吸じんする。
引用元:あと施工アンカー技術講習テキスト2020年版
[穿孔後のコンクリート表面]
写真のように、コンクリート表面には穿孔の際発生した切粉がたまる。
表面の切粉の除去が不十分だと、
① 孔内へ再び切粉が落ちる
② アンカー挿入後、ねじ部に切粉が付着
③ 穿孔深さの測定が困難
①~③のように、アンカーの施工不良に繋がる可能性があります。
下向き施工の場合は十分に表面の清掃を行ってください。
また、上向き施工や横向き施工では、穿孔した際に発生する切粉が飛散します。
近年では、橋梁やビルなどの改修工事では、粉塵が飛散した際の影響を考慮し、集じん機能を備えたハンマードリルで施工するように指示されるケースが増えてきています。
メーカー:HIKOKI
商品名:マルチボルト(36V)コードレスロータリハンマドリルDH36DPA/DH36DPB(集じんタイプ)
型番:DH36DPB
定価:114,500円
アンカーバードSTORE価格:75,570円
次に孔内の清掃を実施します。
コンクリート孔内には、穿孔時の切粉がたまっています。
この切粉が、アンカーを打ち込んだ際にクッションの作用として働き、打込み不足になります。
ダストポンプを使用して、孔内の切粉を確実に除去するようにしてください。
※孔内にたまった切粉を除去する場合、周囲への飛散防止のため、集じん機を使用しながら作業する事をお勧めします。
コンクリート孔内の清掃完了後、穿孔深さの確認を行います。
計測には、ノギスや穿孔深さをマーキングしたドリルを使用します。
ノギスで穿孔深さを測定する際、孔の中心で測定するのではなく、孔壁に沿って孔邸の奥までノギスを差込み測定する。
穿孔したコンクリート孔の清掃の重要性を説明してきました。
しかし、実際に現場であと施工アンカーを穿孔する際の作業環境は地域や天候によって多少変わってきます。筆者が現場でアンカー施工をする上で特に注意しているのが、水に濡れた環境での施工です。
例えば、雨が降っている最中にコンクリートを穿孔した場合、切粉が水に濡れ、孔内清掃が不十分になってしまいます。
通常と同じ施工では、アンカーの施工不良に繋がりますので、その時はワイヤーブラシを使用し、孔壁に付着した切粉の除去を行い、アンカーを安全に設置できるようにします。
今回は、あと施工アンカー(金属系)施工で見落としがちな「清掃」作業について、詳しく説明してきました。
「なんで清掃する必要があるのか?」という理由がわかりましたよね。
今後のアンカー施工で是非試してみてください。